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 (3)久住の積乱雲を避けて熊本へ

020813 JA09AW Dep. RJOY 14:20-17:44 Arr. RJFT 3h24m
熊本に行き着くには、中国が、四国がそうであったように、山地には強烈な積乱雲があることは明白だった。大分空港の真上に至り、思案した。陸地は先程の瀬戸内海とはうってかわって、視程が悪い。しかも、モロの逆光だ。熊本への最短コースでは、久住山系の中に飛び込むようなもので、最も活発な積乱雲が予見できる。

北側には、降雨は終わったようだが、まだ前線の名残がある。テレインの低いところを探して、そう、峠越えの国道を通るかのように、久住の南側を迂回し、竹田へ南下し、その先も、おどおどしながら行かねばならない。なにせ、土地勘のない、慣れない場所だ。

湿度高い気層に、強大な積乱雲の陰が濃く投影され、サングラス越しの風景はとても暗く、心細さしか生まない。雲に触らぬよう高度を落とし、対地高度で600ft程度になるのだろうか、場周経路を飛ぶ際よりも低い感じがするが、眼下に家屋がないことを救いに、我慢して飛んでいる。風防には雨滴だ。


久住降雨(阿蘇郡宮町)


阿蘇米塚
ひとつ確信したいことは、前方に線のようになった黄色い水平なラインがあることだ。あそこまで行けば、日射がある。降雨はないし、上層にも雲がないはずだ。それはどこか、阿蘇の外輪山の中であろうか。いずれにせよ、しばしの我慢だ。そしてこのミスの許されない厳しい低層であれば、視程もある程度確保できている。それも、少しだけだが、光明なのだ。

いつしか黄色い線が、帯になった。その帯の中に、根子岳、高岳、烏帽子岳という阿蘇の頂がパノラマに見えた。同時に上層を遮っていた雲が後に去った。風景は重しが取れたように明るくなって、阿蘇外輪山の内側に入った。一気に対地高度が増した。外輪山の、ここだけが切り通しになっている立野に至ると、正面に熊本空港が視認できた。

熊本の県営エプロンは、そのジェネアビのありようが、日本ではないような、一種の別天地の様相がある。田尻さんの、なんというか、信念の現れだろう。「もう1機、帰ってくる機体があるから、全機始末したら、メシに行こう」

結局総勢12人? なかなかの大部隊だったから、阿蘇山中の「え〜っ、こんな道が舗装されていないような森の中に、本当に食事出来るところがあるの?」という、秘密めかしたお店ばかりを訪ねて、3軒目にして落ち着くことが出来た。たらふくの地鶏コース。

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