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050220 JA09AW Ohtone−RJNA Dep14:16−Arr17:05
050221 JA09AW RJNA−RJGG Dep 16:40−Arr17:03
050222 JA09AW RJGG−Ohtone Dep 04:28−Arr 08:58


空港島北端にある小型機スポット。係留を終わってハンドリングしてくれる空港会社の車に乗ったら、トヨタのサイテーションが重役を乗せて隣のスポットに入ってきた。
ハンドリング料は、片道1万円。河川敷航空の常識から言えばゲ〜ッということになるが、この109の停留にも、プロのマーシャラーに空港会社の運航支援グループの担当がふたり就いている。扱いはビジネスジェットなのである。
「燃料は?」
県営名古屋から20分飛んだだけだが、何があるか分からない山岳の夜間飛行が控えている。受油口まで入れておきたい。朝、打ち合わせしたとき、自動車用ハイオクでいいのだが、と伝えたら、携行カンに20Lのハイオクも用意されていた。
積極的に細部にわたるまで、顧客の希望に添うようにしてもらえる。むろん、あとから請求書は送られてくるのだろうが、官や自治体ではなく、会社経営の空港のサービス精神は、全然別の国にいるようだ。


初めて滑空場から遠出して、まともな空港に行ったのは、20年ほど前だったか。富山だったが、小型機利用者のエプロンからの出口が分からず、30分以上場内で立ち往生したことがあった。いま、どの空港でも出口の在処だけは分かるが、どこへ行ってもオリのような螺旋階段を、局舎の2階、時には3階まで登らねばならない。

日本の空港の小型機利用者として、セントレアで初めて、エスカレーターでターミナルのホールに出ることが出来た。ハンドリングする空港会社の松原さんが、ボクの荷物を運んでくれる。ドアも先回りして開けていただける。ボクが写真を撮るためではなく、それがビジネス機利用者に対する高級ホテルのようなサービスなのだろう。なんだか、片道1万円を高いと言えなくなってきた。サービス内容からいえば、那覇の場内タクシー5,000円より安いと思う。


空港近隣の、といっても半島の東海岸の半田市などだが、それなりの規模のビジネスホテルは満杯だった。そこで、常滑市のHPに3軒紹介されていた宿泊案内から、ビジネス旅館「土日」という不思議な名前の旅館を予約した。空港建設の工事関係者を目的としたホテルのようだった。素泊まり5,000円。「午前3時前には出ますが」と言っても割に平然と対応してもらえた。ただ、周囲に飲み屋はほとんどなし。
空港からタクシーだったが、2千数百円の料金でも、運転手の不平はなかった。ただし、有料の空港橋の往復料金が加算された。
旅館のオヤジは温厚そうな人で、「どこか居酒屋は?」と聞くと、自ら運転して漁港の飲み屋に連れて行ってくれた。が、本日そこは貸し切り。で次善の策として焼き肉屋、伊勢湾一帯ではホルモンという、で夕食。午前2時45分に迎えのタクシーを頼み、早く寝る。

2時45分、旅館の玄関で、ひっそり出かけようとするとオヤジが起きてきて、「ちゃんとタクシー来るか心配でのぅ」と言い、到着した車を見て、「これで寝られる」と部屋に消えた。

午前3時、まずは航空局局舎へ。とにもかくにも気象が問題だ。
前日午前中に一度来ているから分かるが、これが最初なら完璧にアウトだったろう。丁度定時で担当官は忙しく、ちょっと待った。
風はRWY18側36側とも、270〜276度(真横)で14〜16kt。横風実証値11ktの機体としては、やれやれという感じだ。目的地の雲は、衛星映像で見る限り、北アルプスに被って動いている。動かない微細な白いエリアは、南の御嶽や恵那山の冠雪らしい。
行くのか? 自問自答する。行かないと言えるのか?が、より正確かもしれない。多くの機関や関係者を巻き込んでいる。何やら大変な事を始めたらしい、改めて強い実感に襲われる。

気象の次は、管制運航情報官室だ。行ってみると鍵がかかっている。「どうすりゃいいのさ」
深夜未明の航空局は、考えないではなかったが、24時間空港といえども、昼間とは違う。電話すれば、フライトプランは入るのかなぁ?
局舎に来てくれたハンドリング担当の松原さんに聞いても、「さぁ??」「この前、深夜の出発を扱った同僚がいますから、ちょっとホテルに迎えに行きましょう」となった。
分かったのは、情報官は別室、FSC運用室というところで、一人で勤務されていたのだった。「4時の出発ですね。聞いてますよ」
話が通っていて、そこからはすんなり進む。プランを提出。目的地松本RJAF。だが、ここは悪名高き県庁と一緒の運用時間の空港だ。9時までは降りられない。

空港会社の車に乗ると、そのままスポットへ。しまったと思った。局局舎からターミナルビルに行ってから機体の所へ行くのだと信じていたせいで、トイレは最後の最後にしようと考えていたのだ。が、既にスポット。立ち小便は出来ないしなぁ。冷たい風が吹く中で機材の搭載などを行い、体が冷えると、少しばかり感じる尿意が大きくなるかもしれない。5時間持つか?

セントレアの小型機スポットには照明塔がない。真っ暗闇の中で、車のライトと懐中電灯を頼りに搭載作業。今回は高空で長時間、酸素もある。暗闇では機内で必要なモノを探せないから全部を記憶して、忘れ物のないようにせねばならない。
エンジンを掛けても、冷えていて暖機には時間がかかった。

ATISを聞いて、GNDにコンタクト。事前調整では、誘導路などの補修が行われていて、真っ直ぐ滑走路に行き、アクティブをタクシーダウンするらしい、とのことだった。ならば、頃合いを見て、マーカー2つ分、600mも行けば反転して離陸できると思ったが、GNDからは、正規のタクシー・ウェイを行くように指示があった。工事が、たぶんこの離陸で中断され、またまた影響を及ぼした部門があるのだろう。
それにしても、南端まで、約3.5kmを行くのは長いね。横風もあるし。
最後のウィンド・チェック。290度?11ktだ。ホッとする。フルパワーにすると、すぐ浮いた。
インターネットの月齢カレンダーで調べておいたが、21日は月齢 12.2(中潮)、かなり丸く明るい。伊勢湾の奥は煌々と光っている。だが、月没は05:00。空が白む前なのだろうか。



真っ直ぐ御嶽を目指そうとしたが、県営名古屋は管制が航空自衛隊に移管されたのだった。とすると、この時間も、管制圏もPCAも生きているのかしらん。とりあえず避けていこうと、東よりに行く。未明というのに名古屋の街は光あふれて明るかった。
カメラを取り出した。ISO1600にセットし、プログラム・オートで撮ってみた。
1秒ほどの長いシャッターだった。普通なら完全にブレる速度だが、街の光はブレても、一体の主翼や、機内のドームライトで影になったボク自身は、ブレずに写っていた。



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