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 (2)

(2)制限や制約はあるか

具体的に撮影の場合の、セスナとの差異をいいます。

セスナは胴体の上に主翼がある高翼機です。原則的に高翼機は見下ろした風景を撮るのに適していますが、それは直線飛行の場合にいえることで、大きな欠点は、撮るべきものに向かって旋回したときに、特に接近して深いバンクをとった場合がそうですが、主翼が下がって目標方向の視野を遮ってしまうことです。真横に翼を支える支柱があることも不便です。

モーターグライダーの場合は低翼機です。カメラ・アングルの自由度は低いのですが、一方で、まったく自由に見えている空は結構他に飛ぶ航空機に遭遇することが多く、空中衝突の危険もあって、旋回方向の翼が下がって視野を広げてくれる低翼機はありがたいと考えています。


機体に対する目の位置は、主翼前縁のラインの上です。すなわち斜め下を見る場合、真横から後ろは見えません。機首の方向は、といえば、機首にはエンジンがあるため一部を遮られています。

したがって、機体の進行方向の斜め45度方向を写す中心線にしています。すると、35mmカメラのレンズに換算して、魚眼レンズでは主翼か機首が入ってしまうものの、ほぼ20mm程度の超広角レンズまでは使えます。

モーターグライダーは2人乗りです。これは基本的に自分で飛ぶことを楽しむための、いわばスポーツの道具だからです。

そして使用機は写真家の自家用機です。ですから、専門のプロ・パイロットを乗せて行くわけではありません。カメラマンが機長です。フライトの全てに責任を持っています。

でも、ピントを合わせたり、シャッターを切ったりする場合は操縦できません。そのため、操縦ができるグライダー仲間を同乗させて飛んでいきます。アマチュア・パイロットは、なかなかホームベースから遠出ができません。お手伝いのパイロットには、遠距離のフライトができ、経験を積むことができて喜ばれています。

また、たった2人で飛びますから、4人乗りのセスナなどと異なり、飛行中に撮影場所などに関して後ろから助言をくれる専門家の同乗者はいません。事前に調査と勉強をしておかねばなりません。上空には道路標識などはありませんから、実際に事前の調査は重要です。

モーターグライダーは飛行中エンジンを停止することもできます。ですが、低空では止めません。万一、再始動ができなかった場合、所構わず降りなくてはならなくなってしまうからです。

当然機体整備には注意を払っていますが、なにせ機械には不具合はつきもので、空を飛ぶ者は普段から最悪の場合を想定することが習わしです。

低空では止めはしませんが、アイドリングにすることはよくあります。特に低空で、騒音などが気になる場合です。アイドルにすると、音は地上ではほとんど聞こえません。そして飛行機よりもゆっくり降下しますから、十分に撮影する時間を得られます。

ちなみに、どこまで降りられるかは航空法施行規則に決められています。人が多い街中で300m(1,000ft)、田んぼなど人が少ないところで150m、海上や人気のない山岳では、接しない所まで、です。

東京上空の300mは、異様に低く実際に自分で飛んでみると大きな恐怖です。エンジン・トラブルがありうることを常に想定しているからです。例えば新宿上空でプロペラが止まったら、多摩川か荒川の河川敷くらいしか、逃げ込める場所はありません。

実は150mあれば着陸停止できますから、上空から眺める限り皇居前広場でも大丈夫そうですが、もしそんなことをすれば、誰かを巻き添えにしなくとも新聞記事1面の大事件になってしまうでしょうから、選択肢としては考えられません。多摩川か荒川まで滑空できるだけの1,000m以上の高度をとって、飛んでいます。たとえ高度が高すぎて「絵」にならなくとも、それは仕方がありません。

安全のためには、カメラマンの蛮勇を捨てる方がいいと思っています。
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