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TP12発行案内




TP12のお知らせ


本体定価3900円です。発売中。ご注文お待ちしております。

AIRWORKSダイレクトでのご注文は、いつも通り、メール/FAX等にて承ります。ご注文方法はこちらのページ(ご注文について)でご確認下さい。


TP12の内容をご紹介します。

グライダー関係の目を見張る出来事があった1年だったかどうか。恐慌寸前の経済不況ばかりが前面に出て、ただでさえ出版不況の中で、自分に何ができるだろうか、試行錯誤を続けた1年でした。うろたえがちとなれば、まずは原点に帰ること、たぶんそれが大事だろうと思い、自分自身に最大限できことを表に出そうと試みました。
私は写真家であることがベースですから、まず、写真の原点は何だろう、です。それは人の写真、肖像画になり代わる写真です。肖像画家の手間を省く新技術こそ、写真発明時の写真でした。そうか、肖像写真か、です。と言うからには、ASK21の機内に魚眼レンズつきのカメラをマウントし、搭乗者が手元でシャッターを押すセルフ・ポートレイトを大学航空部員に撮ってもらいました。
この春卒業した学生67人の「卒業写真」です。各自の表情に加え、航空部生活に対する62文字のコメントをいただきました。
 じつは、撮影できたすべてのコマを、スライドショーのように早送りすると、面白いんです。たとえVサインしても、次の瞬間には圧倒的に真剣な表情、これが繰り返されます。なかなか余裕がないんだなぁと感じました。

さて、現役でいられるうちに、あと何冊の書籍を作れるだろうか、これもひしひしと感じることです。日頃、「空へ、空から」を標榜して活動していますが、「空へ」では、いつか飛行機写真の撮り方・見方を解説してみたい、これも写真生活の原点だし、と思います。軍用機や旅客機も含めたトータルな「飛行機写真術」を語る前に、自分の確たるフィールドで「グライダー写真術」を考えてみました。写真に興味ない人も、専門家の対象へのアプローチを感じてもらえたら嬉しいです。

「空から」では、精力的に行っているのが火山の空撮です。この国の始原にかかわる、民族性にもかかわるであろう存在としての火山に興味があるのです。じつは日本の第四紀火山(180万年前以降に誕生)をすべて網羅した写真主体の書籍を、第一線の学者と一緒にそろそろ作り始めることができそうです。その予行として、日光白根山から知床半島突端に至る51の火山をピックアップし、「天地創造」のタイトルで展開してみました。各火山の解説は私に火山の面白さを教えてくれた産業技術総合研究所・地質調査総合センターの中野俊さんにお願いしました。フライト話もありますので、火山を辿る知床への空の旅を想起していただけたらと思います。
火山については、2010年版から「火山日本」と題したA4判カレンダーも発行します。飛行機写真に比べれば、いかに空撮といえども山の写真は一般的です。普通の世界でも通用するはずだ、の思いを込めて制作しました。

さて、TP12のグライダーの話題は何なのか、とお叱りの声が聞こえてきそうですが、まずはディスカスで500kmを飛んだ斉藤岳志さんのレポート「DIAMONDDISTANCE FROM KAKUDA」があります。参考となる当日の高層天気図については、ウェザーニュースの内藤邦裕さんに、その見方を解説していただきました。そして私は、元旦から角田の雲の上にいるグライダーの空撮に出かけました。

故本多誠之さんの主宰でレストアなって、仕上げの行われたオーストラリアから帰還した「CondorW」を、関宿および富士川滑空場で撮影し取り上げました。
日本人が行った修復プロジェクトを、世界の誰にも分かってもらえるように、富士山背景の飛行姿が望まれました。

また、今号はこの時期の発行となって、4月上旬にドイツで開催された欧州最大のジェネラル航空見本市、「AERO 2009」をお伝えすることができます。目玉となる最新鋭機は、シェンプからはフラップを装備したDuo DiscusというべきArcus Tの登場、シュライハーからは18m機ながら21mスパンにもなるASH31Miが登場しました。両機とも後日初飛行し、速報空撮写真も掲載しています。
「AERO 2009」では、機体のみならずコクピットやグライダーパーツの写真も集め、新しい潮流を可能な限り把握できるよう努めました。

なおドイツでは、環境に優しく、経済的で、効率的な動力装置をもつ、最も最先端の「e-flight航空機」の開発機運が高まり、来年にはウルム市でフライオフもある「Berblinger flight competition 2011」が行われます。コンペのご案内と有力参加候補機のご紹介もいたしました。

さて、九州では西日本航空協会の前田建さんらが、ライト兄弟機復元の経験を色濃く反映した「複葉プライマリー」を製作し、こどもグライダーとして初飛行させました。この種の機体の必要性を語っていただきました。

フライトインプレッションでは、ルーマニア製の動力滑空機「IS-28M2/GR」を取り上げました。
「本機やスーパーディモナといった機体は、従来のモグラにはない定速ペラ、ターボチャージャー、引込脚、フラップ、カウルフラップ、キャブヒーターといった装備がつき、離着陸の際のチェックリストが複雑になっているし、エンジンの操作を熟知して、注意深く扱わないと、エンジンの寿命を縮めるという問題も出てきている。少なくとも、気軽に空のお散歩というわけにはいかない部分があるので、特に従来の機体で飛び慣れたベテランのパイロットは、ちょっと頭を切り替える必要があるだろう。事実、この手のハイパフォーマンスのモーターグライダーは、大ベテランによる事故が目立つ」(平岡仙一郎)。傾聴に値するコメントです。

クラブの紹介は中航連です。自衛隊基地内での活動により、普段の姿はなかなか部外者が見られない岐阜支部を中心に、岡崎滑空場や飛弾エアパークでも取材しました。山飛びの諸注意は、誰もが把握しておく必要があるように思います。

枕崎グライダークラブでは自前のブラニクを使う本格運用が始まりました。ブラニクの空撮だけのために九州の端まで飛ぶのは大変でしたが、やはり日常自衛隊基地内の活動である中国航空協会も同型機を運んで飛ばすというので敢行しました。3日間で21時間の飛行でした。
実際、自衛隊飛行場で飛ぶ中国航空協会にとっても、枕崎のもつ意味は大きいことがお読みいただければお分かりになると思います。

滑空場は、久住を訪ねました。学連の行く末に最も大きな影響を受けるであろう滑空場ですが、一方で晴れれば、日本一美しい滑空場かもしれません。
私は以前、大分県央上空7,500ftでG109Bの動力を止め、外輪山をなめて熊本空港アビームまで滑空したことがありました。面白いフライト実績が急速に積層されることを願っています。

また 子育て世代が大いに語り合った座談会「パパを滑空場に行かせてよ」にも注目してください。滑空界活性化の鍵となる世代には、子育てとフライトの両立を図ることが深く重い課題になっています。テープ起こしで40ページに及ぶ記事を、力業で大幅に圧縮することが大変でしたが、きっと共感を覚える読者が多いと思います。

また、日本学生航空連盟の安全委員会中間報告書「サブGセンセーション」を、広く共通認識として持っていた方がよいとの観点から、小誌にも掲載しました。

始原的な話題としてもうひとつ、グライダーパイロットの関与も実は多い、夏の琵琶湖の「鳥人間」もカバーしました。今年は開催されないそうですが、人力飛行機開発にはなぜ多くの大学生が興味を持ち(飛行実験をする夜明けの飛行場の人の多さと熱気に驚きます)、グライダーはそれほどでもないのか、考えてみる必要はありませんか。

自分で言うのも問題ありですが、誌面の洗練の度は増していると思います。創刊時からのクラブ広告などの変遷を見ていただけたらお分かりになるでしょう。
時折、地方のグライダー愛好者の方々から、小誌応援のお言葉をいただきます。嬉しいです。頑張ろうと思います。

誌面作りにもぜひご参加下さい。これからの1年、「雲の現示」と題して手記を募集します。詳しくはTP12をご覧下さい。

よろしくお願いいたします。

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