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030416 Dep. Ohtone 14:26-18:28 Arr. RJOY 4h02m
15日は仕事が片づくのが遅くなった。
翌16日は、八尾まで飛ばねばならない。だが、4時間も眠っていない。とても1人では飛べないので、まかせておけるユカちゃんに朝早く電話して、一緒に行ってくれることを頼んだ。

ところが彼女は、もうひとつミッションを抱えていた。韮崎にグライダーをフェリーする要員だという。横田基地や笹子の峠を越えて1時間以上曳航されていく経験も、なかなか普通では味わえない。

そうしたら、愛ちゃんが、「いいよ、貸すよ」と言ってくれて、こちらのクルーになった。助かった。

韮崎へのフェリーは、前日の雨によるこの日のモヤの凄さ(2整"なっちん"がいうには、竜王から富士山も笹子も見えない)から、一端は中止の色が濃かった。が昼過ぎて、大利根ではやろうか、となった。韮崎で待ち受ける"なっちん"も焦ったに違いない。

じゃぁ、行きがけに空撮していくか。イメージは、もやに煙る大東京を、あるいは富士山を背景に、高々度を曳航されていく赤いASK13。

プロの仕事は速い。赤カブと13は、あっという間に用意され、愛ちゃんは「横田APP圏内に入ったら、118.3ね」といって、準備が先行していた109Bを後目にさっさと離陸。

109Bは14:26離陸。これは、八尾まで比較的長い距離を飛ぶには遅い離陸だが、積乱雲に悩まされる夏ではないし、視程も夕刻にしたがい改善されるだろうし、最近は夜も全く怖くはない。

赤カブに5分?ビハインド。
こちらも横田APPをモニターするのに、赤カブが交信している気配がない。「どうしたんだろうね」


そのうち笹子峠。6,500ftで通過。峠一帯はトップ7,000ftの雲が多かったが、幸い峠の鞍部3〜4nmは雲が切れていた。

双葉への見通しがきく位置に至ったから、130.8で航空学園に尋ねると、トランスポンダー不良で引き返した、ミッション・キャンセルとのことだった。さては、あのツマミが、また脱落したのか?


平日で忙しい浜松TCAをモニターし、逆光の太陽に向かって飛んでいく。

吉野


吉野


耳成山


稲村ヶ岳
鈴鹿はどうか。視程は20km、あいかわらずもやっているが、幸い雲はなさそうだった。「ほな、吉野の桜を見に行きましょうか」

吉野には、なぜ桜が多いのか。吉野には、なぜ独特の響きがあるのか。

あの義経は、敗北者となって、なぜ吉野に逃げ込んだのか。義経は吉野で静御前と別れ、奥州へ逃げていく。歌舞伎『義経千本桜』の道行、だったと思う。持統天皇は、吉野に行幸されている。それも20回とか、30回とかいう回数だ。国家にとっても吉野には特別な意味があったはずだ。

吉野のあの尾根を、高いところ、高いところ、と辿っていくと、大峰山。山岳修験(山伏)の本拠に至る。役小角(えんのおづね)が顔を出し、『日本霊異記』の世界に引きまれる。
この列島の土着の神様は、山の神であった。新しい宗教である仏教と、土着の神様は戦ったはずなのだ。そして、いつしか融合される。そのことと、吉野の桜は決して無関係ではないはずだ。そんなイメージの1コマを空撮したい。

かすんだ、ぼんやりしたなかに、一山の桜が、そこだけやや白っぽく浮かび上がる。しかも日没の色濃い時刻だ。ああ、無理して来てよかったと思った。
和歌山県北部の山岳地帯に入り込み、ひとしきり日没の山岳飛行を楽しんだ。大峰山(山上ヶ岳)の手前の稲村ヶ岳など、山頂部は、おどろおどろしくも修験に対する挑戦的山容だ。

そして奈良盆地を経由して八尾に向かった。
いずれも100mそこそこの低い山だが、大和三山(畝傍山・耳成山・天香具山)のひとつ、耳成山(みみなしやま)がぽっかり影になっている。
そのうち、奈良盆地から流れ出す大和川の先に太陽が沈み、地表は大和川だけが光るうねりとなって、これはこれで歴史を物語るイメージが生まれた。暗く困難な撮影も楽しかった。

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