Welcome to AIRWORKS HP
HOME Turn Point 空遊録 編集長日記 Collections Contact
Back


030202 Dep.Ohtone 11:37−13:36 Arr.Ohtone
いま、地方都市を歩くとどうだろう、商店街の店舗がつながって開店している街路は、まずないといっていんじゃないだろうか。

人々のさんざめきがあっておかしくないのに閑散として、この街は何で食っているのか、人ごとながら心配させる風景になっている。実際に抜けた歯のように、次から次へと閉店した店が現れる。

シャッターが閉まっているのみならず、場所によっては取り壊されて、不動産会社の管理地になったり、よくても駐車場になったりしている。不況もきわまった感じだ。

翻って東京はどうか。壮大なビルの建設ラッシュではないか。刻々都市景観を変えている。

仕事場の近所の汐留には、いくつかすでに開業しているようだが、電通、資生堂、日本テレビ、ロイヤルパークホテル、四季劇場などが移ってきて、ビジネスとショッピングの一大拠点に生まれ変わりつつある。

12月に開業した都営地下鉄大江戸線の駅や、お台場方面へのゆりかもめの駅もある。この春にはあらかた完成するらしい。

汐留めから芝方面を見ると、あの東京タワーが埋没して見える。出来たころには高層ビルなど1棟もなかったのだ。

この場所は、ほぼ1年前にも撮ったが、ちょうど9.11テロの影響で、アメリカ大使館を中心とする半径2nm、高度5,000ftが立ち入り「自粛」空域となっていて、飛ぶのは大変だった。

半径2nmは、ほぼ山手線新橋駅あたりまでをカバーしており、羽田のレーダー(TCA)に見守られての空撮で、「あと200mで空域に入ります。ただちに旋回してください」などと言われつつ、そうでないと撮れないため、ぎりぎりまで頑張ったのだった。

品川も変貌しつつある。駅の海側にいくつもの新しいビルが建った。三菱自動車などが移ってきて新しい三菱村が生まれるようだが、新幹線の新駅も作られ、JR東海はこの秋から品川始発の「のぞみ」を大増発するのだそうだ。

品川駅周辺、おそらく駅舎から南側(大井町方面)は、1/10万のヘリコプター用?「首都圏詳細航空図」を見ると明らかだが、羽田の管制圏・特管区に入っている。


南側からでないとビルの撮影も逆光になってしまうから、事前に空域立ち入りの申請をして、受理番号をもらっての空撮であった。

北東側を見ればレインボーブリッジや晴海、お台場が見えるが、南東方向はまさに羽田のRWY34Rの延長線上で、しかも近く、なかなか緊迫感がある。

六本木はどうか。旧テレビ朝日の一角に、六本木ヒルズという壮大なビルが生まれつつある。みれば、昔懐かしい旧防衛庁も更地になっている。こちらにも壮大なビルが生まれるのだろう。


見通す緑地は神宮外苑(絵画館がある)、その先に池袋のサンシャインビルなどが見える。このビルごしに霞ヶ関・皇居方面を見ると、芝にも、山王にも、やはり新しいビルが増えている印象だ。

汐留・芝


六本木・外苑


溜池・皇居


汐留・霞ヶ関


品川・晴海


六本木・霞ヶ関
ちょっとそちらに寄って、溜池から皇居方面を見る。全日空ホテルの手前にこんな緑の大きなビルがあったんだ、と改めて思うし、都心の米軍ホテルだった山王ホテル跡地や、大火災のあったホテルニュージャパンの跡地にも大きなビルが生まれ、新しい首相官邸も見える。

たまたま買った週刊朝日2/28号の連載コラム「時の正夢」に、堺屋太一が書いている。これは「日本をむしばむ逆フロンティア現象」だと。少し引用させてもらう。

高度成長期には、どこにも未来への夢と開発の期待があった。よしあしは別にして、「列島改造ブーム」には開拓精神が全国にみなぎっていた。次の遙かに大きな「バブル景気」では、大都市周辺とゴルフ場用地のみが暴騰した。特に東京近郊では、みなとみらい、幕張、大宮など業務用地の拡大を予想した業務副都心が作られた。ところが今、これら業務副都心のビルは空室が目立ち、開発予定地は半分以下に縮小された。

汐留、品川、六本木、せいぜい縦横10kmの幅の、100平方kmの範囲だけが開発されるのは、どうしてか。
堺屋太一は、「形の収縮は気持ちの委縮」と書いている。ひとかたまりに集まって「人脈と規制の枠を超えないのが利口な生き方になった」からだ。

しかし、「狭い空間に閉じこもると、人間は怠惰になり臆病になる」。「不決断を熟慮と言い換え、臆病を慎重と呼び」「声高に改革を唱えるが、実行は既成の枠を超えない」世の中は、「怠惰の結果、量的減少と質的低下を生む」が、「これこそが不況の遠因、危機の本質である」とし、「本当の改革のために、東京集中の是正、地方分散と分権はこの国の形と気持ちを変える上でも大切だ。首都機能の問題も、そんな観点から真剣に考えてほしい」と結論づけている。

TOP
TOP | about AIRWORKS | 通信販売について | Contact

Copyright Hiroshi Seo All Rights Reserved