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10,000ftからフルダイブで降下していく。飛騨フライトサービスを呼ぶと、「名古屋の管制情報からフライトプランのことで問い合わせの電話がありました。降りたら電話してください」とのことだった。

何か不始末をしでかしたのか? このまま降下していくと、下手なホールドなど喰らわない限り、計画と2分と差がない3時半にタッチダウンするはずだった。

たとえ操縦は下手でも、こうしたところはちょっとした自信がある。簡単に言えば、ぼくも河川敷航空育ちだが、3,000時間ちかく飛んで、まだ航空局に対して1枚も始末書や顛末書のたぐいを書いたことがない。後天的な努力でカバーできることは、頑張ってやろうということだ。

また、プランはスルーで入っており、大利根に日没までに到着すれば、何ら問題ないはずだった。


15:32に着陸。すると、エプロンには地元の警察官が待っていた。一体、何じゃい。

プランに起因することであろうから、警察対応の前に、パッセンジャー・ストップの実時刻報告を兼ねてCABに電話した。

LS8 "KZ"


LS8 "KZ"

ああ、全くショックなことに、そのパッセンジャー・ストップの予定時刻を、「0530」と書いていたのだった。このUTCの時刻は、日本時間では14:30なのだ。
30分経っても一旦着陸の通報がないため、日本中の空に、ウチの機体を捜索する指令が発動され、流れたのだった。
ケアレス・ミスが、大きな騒動を引き起こしていた。即座に謝った。

事情は簡単に判明したが、それはそれで、CABにも警察官にも仕事がある。対応していたら、日没の大利根に間に合うだろうか。
「AEISに離陸通報はされましたよね。30分を過ぎそうだったので、何度もAEISから呼びかけましたが、聞こえませんでしたか」
「撮影のため、北アルプスの西側にいましたから、松本にサイト(アンテナ)があっても、山々で遮られ、全く無線は届きません」
「携帯電話にもかけましたが」
「海の上でないかぎり、届きませんよ。そもそも相手機との交信や撮影で手一杯で、どうもできませんでした。誠にスミマセンが、後は、大利根に着陸してからにしてもらえませんか。日没が気になります」
「いや、こちらも仕事ですから、もう少しお聞きしたいんですが・・・・」
ひとしきりあって、そして次はオマワリさん。
「免許証を見せてください。ほう、岐阜のご出身で・・・・」
いいじゃねぇか、そんなこと・・・・・

連休の飛騨における運航を行う中航連のみなさんには、大変ご迷惑をおかけした。航空局とのつきあいに慣れていないと、どぎまぎすることが多くて困られたことだろうと思う。しかも、撮影機の運航については、その詳細をお伝えしていたわけではなかった。この場を借りて、お詫びしたい。

ありがたいことに、始末書を出せ、というような話にはならなかった。それに報いるためにも、今後の日常的なフライトで、そこはかとなく挽回していくしかないと思った。
さて、大利根に急がねばならない。飛騨−大利根は150nmほどの距離だったはずだ。高層に上がれば西風強く、GS100ktで1時間半で行けるはずだが、安房峠越えに手間取ると、その分時間が加算されていく。要領よく高度を稼がねばならない。

16:02離陸。
上高地を左前方に見て、高度不十分なため、霞沢岳を南に迂回したとき、携帯が鳴った。着信表示を見ると、名古屋の管制情報だった。
谷筋の中にいて操縦は忙しく、電話も返せないので、松本盆地に出るまで待つ。出れば、AEIS松本サイトで離陸時刻通報も可能だ。
松本空港の上空を7,500ftで東進する。情報圏を出たところで、東京INFOにお願いし、名古屋の管制情報の電話の内容を確かめてもらった。アクチャルの離陸時刻を確かめたかった、とのことだった。

蓼科の北を通過し、南牧村や下仁田が視野に入ると群馬で関東だ。AEISも熊谷のサイトにスイッチする。すると、ガサガサした音だったが、ぼくの機体をAEISが呼んでいるのが聞こえた。応答したが電波は届かないようだった。問い合わせの内容も分からない。
1回ドジをふむと、回状が回ったかのように、みんながこのフライトを注目しているようだ。ミスはしたくないものだと痛感した。

秩父あたりに至り、AEIS熊谷サイトと明瞭に話が出来たので、さっきの問い合わせは?と聞くと、「日没は大丈夫ですか?」という。
GSは105ktある。日没にはだいぶ余裕をもって大利根に帰着できそうだった。
でも、新しいエンジンにもかかわらず、がんがん回した。

話は変わるが、北アルプスを飛んだ丸ちゃんは、翌日、腕がバシバシに疲れていたそうだ。
いろいろあったが、ネガティブな要素をカバーして余る写真が撮れていたのは、何よりも救いだった


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