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FLIGHT LIFE
FLIGHT LIFE 3

木曽川滑空場で最も機体が並ぶのは、全国大会の代表選考を行う東海関西競技会だろう。

といっても、学生に尋ねると、ASK21が2機とASK23が4機の計6機だという。少ないなぁ、と少し残念に思った。
名大、京大、立命館にはDiscusがあるし、関大にはLS4もあるのではなかったか。
「機体性能によるハンデがつくのは止めようということで、全員21か23で競技します」とのことだった。個別どの機体が登場するのか問うと、前の週に行われていた関関同立戦とほぼ変わらない。関関同立には行ったから、それならば改めて出かける必要もないだろう。しかし、滑走路に参加機がラインナップした空撮はやっておきたい。
「滑空への招待・学生版」を作るにせよ、「こんなところで飛んでいる」を見せる1コマとして、滑空場の上空写真は欠かせないものだろうと思うからだ。
その上空写真に、もし機体が並んでいなければ、ただの河川敷の写真になってしまう。

以前も関西方面から大利根に帰る際、何度かこの滑空場の上空を飛んだことがある。養老山地の上空でパワーをアイドルにして、稜線を遊弋するように遊んだこともある。春先の西風が強いときなど、重いG109Bでも結構遊べる。ピュア機ならばもっと面白いはずで、ここまで曳航機で引っ張ってくればいいのに、もったいないなぁ、と思うこともある。
そして、機体の姿のない滑走路を撮って、あるいは場周飛行経路にしか機影がないのをはるか上空から見て、思い直したようにホームベースの関東に向かったのである。

さて、どうやって滑空場を空撮するか。
競技に影響を与えずに撮影を行うには、機体がラインナップされはしても、発航が本格化する前の朝でなくてはならない。0900から1000までのうちの15分程度をもらえれば撮影には十分だろう。
名古屋まで進出して前泊するか? それでは宿泊費がかかるうえ、前日もつぶれる。たった1コマにそこまでは出来ない。日帰りにすれば、気象のヨミもより確実になる。条件は日射が十分あり、西風の弱いことだ。
大利根から木曽川へは、2時間30分を見込まねばならない。0930オンステーションとすると、0700の離陸だ。
陽が短い季節だ。0700の離陸は可能か? 11月14日の日の出は0610であった。ふ〜む。「大利根旅館」で0530に起床すれば、出来ない相談ではない。「大利根旅館」とは、飛行場に近いユカちゃん金子さん宅である。

たまたま土曜日の夕刻、「就活に必要な英語の試験が終わった」といって仕事場に遊びに来た学生、モエちゃんに「行くか?」と声をかけたら、行きたいという。学生用のものを作るのに、学生の参加は望ましい。しかも、近々教育証明の学科試験を受験するのだという。この前、自家用に受かったばかりで驚いたが、よその社会は分からない。それで幸せを感じるならそれでよいし、とりあえず右席は決まったのである。
ちなみに「TCAって知ってるか?」と聞くと、用語程度は聞いたことがあるらしい。しかしそれがどのような運用をされているかは、知識と理解の範囲外だ。
「木曽川はセントレアTCAの覆域の下だから、いやおうなくどうやって利用させてもらうか、経験することになるよ。では『管制圏』は?」
的を得た答えはないけれども、実体験と筆記試験の過去問題を照らし合わせれば、少しは必要知識の骨格がはっきりするだろう。何事も経験だ。

そして空撮を円滑に行うために、木曽川滑空場に撮影飛行要領を書いたものをFAXした。関わる人たち全員が意志一致していないと危険だからである。

11/14、0930〜1000の間の到着予定で、木曽川滑空場に機体が並ぶ状況の空撮にうかがいたいと思っています。使用機はG109B、JA09AWで、大利根を0715には離陸の予定です。 時刻的に競技機や練習機が飛び始める頃かと思いますので、こちらの飛行内容をお伝えしておきたく、FAXしました。

欲しい写真は、全参加機が1列にグリッドについているような1コマです。 可能であれば、並べて下さい。
もし飛行中の機体があれば、それは無理に降りて頂く必要はありません。 こちらは、その機体のジャマにならないよう、待機したり、高度を上げたりする予定です。

通信の設定が問題かと思います。122.6MHzで交信できると助かります。
当方は、セントレアTCAとコンタクトし、4,500ftで木曽川に接近します。
セントレアTCAは東側が121.175MHz、西側が119.25MHzですので、名古屋空港通過時までは木曽川上空と異なる周波数にいる可能性が高いです。
木曽川滑空場の5nm付近でTCAを離れ、降下しつつお呼びする予定です。

滑空場上空では、基本的に滑走路の南側を飛行します。
G109Bの左席から撮りますが、真横は主翼が視野を遮りますので、南西から北東に向かって飛行し、滑走路南端やや南側を通過するルートで飛び、滑走路アビーム時が一番の撮影機会と考えています。
1回目の撮影が終われば、右旋回で南側へ離脱し、再度進入します。パターンは同じですが、パスする時の飛行高度は、当初は1,000ft、さらに周回し、他機の状況を見て、500ftくらいまで高度を下げたいと思っています。南西−北東のオービットを南側で描くかたちですが、木曽川の東、長良川の西には出ないで、川の中で処理したいと思います。
そして、都合4回ないし5回のパスができると、撮れ具合も満足いけるものになるように思います。

これを読んでくれたであろう時刻に木曽川滑空場の責任者の田口さんに電話し、了解をもらい、同行者に再度飛行の概略と予定を確認する。モエちゃんには授業があった。 「えっ、1640から出席にうるさい語学の授業だと!」
少し厳しい条件だが、対処できない条件ではない。時間管理をどこまで正確に行えるかが、その決め手だ。時刻表等を調べ、次のようなメールをした。

飛行コース往路は、富士山の北側の最短コースを飛んで、南アルプス南部を越えて行くルート(高い山の風下側から入っていくルートにもかかわらず、速度の維持と高度の獲得を両立させていくことが必要。かなり難易度は高い)。
木曽川まで直線で340km。往路GS140km/h+撮影時間、帰路170km/hくらいかな。
時間管理をきちっとやろう。
頑張ってね。

ちなみに講義に間に合わせるためには、1623にキャンパスの最寄り駅着、それから(ちょっとだけマージンを含んで)逆算すると、以下のようになる。
大利根最寄りのJR成田線布佐駅1440発
機体の着陸後の始末、および飛行場−駅の車移動の所要に1時間
1330大利根着(所要2時間15分=東バウンドだから2時間はかからないと思うが)
1100名古屋空港発
休息給油1時間
1000名古屋空港着陸(所要2時間45分)
0950木曽川撮影終了(空港へ20kmほど)
0715大利根離陸
0610日の出
0530起床

前の晩の2130、ユカちゃんと金子さんを前に、モエちゃんは航空図を広げた。「どうやって飛んでいくんですか? 使う周波数は?」と聞いてくる。航空図を広げブリーフィングを聞こうという心がけは「偉いぞ、感心感心」と褒めてやりたいところだ。
「離陸したらすぐ下総管制圏だ。これを突っ切っていく。そのためには管制塔の許可がいる。松戸あたりで管制圏を抜けたら、東京だ。皇居に近づかないようにして、池袋あたりに至れば、横田APPを呼ぶ。無線に出てくる人は、生粋のアメリカ人だからね・・・・」
「ACAとTCAは何が違うんですか?」
「鋭いねぇ」
そんなこと説明していたら朝が来ちゃう。

朝、目が覚めたら0600だった。30分の遅刻の上、窓の外を見て焦った。田圃に深い霧が立ちこめている。川霧の発生する寒い季節になったのだ。滑走路は見通せるのだろうか。
慌てて階下に降りていくと、家主もみんな起きていて、本当に申し訳ない気がした。
さて、予定離陸時刻に間に合わせるぞ。川霧は大丈夫か?

利根川の土手を越えると、滑走路は何とか向こうの端まで見通せるようだ。助かったと思った。そこで機体の係留を解き、夜霧に濡れた主翼を拭き、ラダーペダルや背もたれを調節し、使いやすいようにカメラなどを搭載し、使う航空図やGPSをセットし、フライトプランを入れた。この時点で0700を少し回った頃だった。出遅れはとりあえず挽回したが、イグニッションをオンにしても、バッテリーはやたらと力がない。
駐車場に停めた車を持ってきて、ブースタ・ケーブルを繋ぎ、外部電源で始動した。もう確実に冬がやってきたのである。上空でオイル・テンプは許容の下限を下回ることはないだろうか。

0717、大利根のRWY07を離陸した。レフトターンし、HDG270で真っ直ぐに名古屋だ。
下総管制圏を抜け、松戸、上野、そして池袋の先から横田APPのVFRレーダーサービスを受ける。
「ほら、スコーク5341って言ってきたぞ。向こうのレーダーの表示画面に、この機体が特定できるように表示されたわけだ。周辺の航空図を見てみな。関東平野の軍用飛行場、厚木も横田も入間も、みんな滑走路は南北だろ。低層では、これらの飛行場を使う軍用機は南北方向に飛ぶわけだ。そこを横切っていくわけだから、レーダーに見張ってもらう」
調布飛行場の上空に至ると、立川も、横田も、入間も、厚木も視認できる。視程はよい。
府中の東京競馬場の辺りでは、横田が、「ルシファー○○、トラフック・ワン・オクロック、エイト・マイル、4,800、ウェストバウンド」と言っている。
「ホラ、その対象はオレたちのことだ。こちらが1時方向だから、きっと厚木を上がったP-3が接近してくるぞ」
というや、横田はこちらにも喚起をうながす。
「JA09AW、トラフィック・パパ・スリー、ナイン・オクロック、セブン・マイル、4,000、クライミング」
逆光にビカッと光る点がグイグイ大きくなって、海自の哨戒機であることが分かり、それが薄く煙を引いて上昇してくる。
「横田APP、09AW、パパ・スリー・インサイト」
「ラジャ」
右席に「ほ〜ら、あそこさ。見える? ほぼ同高度、やや後ろを凄い速度で通過していくね」と言うと、右席は一生懸命何かメモしている。この周波数からは、コスモ○○とか、トライヤー○○とかとの交信も聞こえてくる。
「これらは、入間のC-1輸送機や飛行点検機への呼びかけだね。平日だから自衛隊機も活発に動き始めている。みんな檻の中を飛んでる訳じゃない。ひとつの空を共有しているから、できるかぎりの手段を使って、お互いの存在を認識しないといけない」

往路に見た富士山。東南東側にレンズ雲が出ている。

中央高速に沿い、大月の分岐から都留方面、そして富士山の北麓へ。冠雪の富士山が美しい。富士五湖、そして青木ヶ原樹海。
「樹海の写真は撮らないの? 樹海の下に眠る人に引き寄せられたら困るか?」
その先、山脈が横たわっている。南アルプスだ。さすがにこの季節、南ア北部の北岳、荒川岳あたりは冠雪している。富士川を渡った。
「いい、正面が南アルプス、右手に八ヶ岳、その間は差し渡しの長い谷に見えるね。20数kmある。この間を日本のトップクラスのグライダー・パイロットは、ワン・グライドで飛んでくる。いつの日か、出来るようになるかな? そうすると、ここら辺りの山岳が全部自分の物になる。航空図を見てみな。長野滑空場はどこだ? ほら、ずいぶん北の遠いところだろ。こんな遠くから飛んでくるんだから。そしてこの小淵沢の谷渡りをして、南アルプスの西側をなめて南下し、丁度正面に見えている光(てかり)岳辺りまで来て、帰っていく」

正面の2,000数百mはある稜線とほぼ同高度だ。これまでは飛行機的に直線飛行していたが、少し高度が欲しい。大井川の源流部、井川ダムの人造湖辺りから風向きを考え、尾根の稜線を選び接近した。
「斜面に当たる風をうまく掴めば、ホラ、5ktの上昇率で上がるじゃん」
「グライダーは旋回しなくても上がるんだ!」
「そうか、サーマルしか経験がないんだ。操縦技術をしっかりしたものにすれば、こうやって山にも近寄れる日が来るぜ」
しかしそれにしても穏やかな日だ。この先、行く手を阻む2,000mの山はない。
「この高度で、このHDGで真っ直ぐ飛んでみ」とスティックを渡す。2〜3分すると、高度は守れてもHDGが狂ったり、その逆だったりする。
「こんな初めての山の中じゃぁ緊張するんだろうけど、どんな環境でも、高度を200ftも狂わすと、動力の自家用も受からないんじゃないか。計器をクロスチェックして、総合的に守る物を守る。ピシッとした操縦が出来ないと、面白いフライトは出来ないぞ」

T-4の飛び交う浜松の北の訓練空域のさらに北を行き、県営名古屋空港の30nm東でセントレアATISを何度か聞いた。
「ほら、いくつ情報が分かった?」
「風・・・・」
「風だけか? アクティブRWYは? 視程は? 雲の状況は? 高度計のセットは? 気温と露点は? そしてインフォメーション何よ? 妻沼のフライトサービスも、ここまでとは言わないが、最低限欠かせない情報だけは伝えてほしいんだよねぇ」
TCAを呼ぶ。濃尾平野が見えてくる。矢作川を渡る前にやや北に変針した。直線的に木曽川を目指すと、県営名古屋空港の南側を通ることになる。その南側にはPCAが設定してある。これに引っかからないよう、県営名古屋の上空を通過したい。
「ACAに、TCAに、PCAだ。で、PCAって何だ?」
「・・・・」
「PCAのPはポジティブ。ポジティブってのは、確実な、積極的な、肯定的な、断固とした、っていう意味だろ。VFR機は断固として入るな、っていう空域だよ。だから確実に避ける」
そして、この先、JA09AWがTCA覆域下でどのようなフライトを予定しているか、TCAに伝えた。
「本機、4,500ftで名古屋空港を通過した後、高度を下げ木曽川滑空場に向かいます。滑空場上空では高度1,000ftから500ftで何度か旋回して写真撮影を行います。その際、周波数を離れますが、撮影終了後に戻りますので、よろしくお願いします。なお、訓練空域CK-1-1に入域の訓練機はありますか?」
「了解しました。CK-1-1には、0045(UTC)からライト・シングル・プレーンが1機入ります」
すぐ右席に尋ねる。
「何を確認しなければいけないか、分かった? 航空図を見よ。木曽川滑空場の辺りには斜線で描かれた訓練空域が設定してあるだろ。入域機があれば、空域を迂回するか上を行くか、避けた方がいいよね。だからTCAに確認を求めた。でも、この時刻の45分までには通過できるだろう。それにしても、エンジンがあるからといって、プ〜っと飛べばいいか、っていうと、全然忙しいだろ。考えなければいけないことが、山のようにある。違うか?
オレはね、それを理解し実行出来ないヤツが他人の操縦教育をするってことが、たとえグライダーといえども理解できないんだね。むろん、これからグライダーの本格的なクロスカントリーを増やしたいと思うから言うんだけどね。もし教証があっても、こうした運用が出来ないのなら、練習生に戻って学んでほしい。すでに時代が君の先輩たちとは異なるわけだし、こうしたことは努力して知的後天的に出来る事柄だから、それを自分で克服し、その全貌が確実に分かっている教官になってほしいな」

名古屋空港滑走路南端通過時刻がこのフライトの決め手であった。それは0928。計画と2分差。しかもアドバンス。正直に言って、300数十km飛んで2分の誤差は、我ながら見事だと思った。ここから木曽川は高速降下するし10分かからない。TCAに断り、名古屋管制圏上空を通過後に降下した。
右席に尋ねる。
「木曽川滑空場はどこだ? あのゆったりとしたラインが木曽川そのものだ。で、どこ? 来たことあるんだろ?」
と言いつつ、TCAに周波数を離れる旨を伝えた。そして「アッあれだわ」という頃には2,000ftで直上を通過し、西側から南に回ってダイブで高度処理し1,000ftを設定、1パス目の撮影に入った。眼下には6機が綺麗に並んでいる。撮影情報が伝わっており、気合いを入れて並べた、ということが分かる。

木曽川・長良川、2本の川の中から出ない旋回をすると約束していた。騒音対策などあるためか、ここでは地元との約束で航空機曳航がなされていない。それは尊重せねばならないから、川の中で動く。すると、旋回は必然60度かそれを超える深いバンクになる。右席は、長時間の緊張するフライトに続くGのあるターンで、急速に怪しくなった。それでも右側にラインナップした機影を眺めると、「撮ります!」と言ってカメラを構えていた。

都合、高度を下げつつ4回パスした。もう1回6機のラインナップのクローズアップを撮るためにパスしたかったが、すでに右席は限界的状況だったので、「ほら、あと10分我慢しろ、10分耐えたら地上だぞ」と鼓舞し撮影終了、名古屋に向かった。

0958タッチダウン。2分アヘッドだが、これも全く計画通り。
スポット・インし「ほら、着いたぜ」といっても、右席は目をつむったままだった。やれやれ。真っ先に給油をしたかったが、これでは休息が先かと思い、不愉快な鋼製らせん階段を3階までぐるぐると登り、管理事務所に向かった。利用申請をして着陸料を払い、広いエレベータ・ホールに行くと、モエちゃんはそこにある椅子にバッタリと崩れこんでくれたのだった。顔の血の気が引いている。
「ほら、そこの壁で逆立ちすれば直るかもよ」
「勘弁して下さい。ちょっと眠ります」
若者が苦手な睡眠不足、朝食抜きの空腹、勢い込んだ機内のメモ書き、慣れない厳しい山岳環境、自分では1時間も飛んだことがないのに2時間36分のフライト、耐えに耐えた最後の2G+の旋回、こうした条件が降り注いだ結果だったろう。少し眠らせておくことにする。
とはいえ、1330大利根帰着のマージンをとった名古屋の離陸時刻は、1100である。それまでに十分な回復が可能だろうか。難しければ、新幹線で帰京する以外ない。新幹線なら+2時間以上の時間的余裕がある。
とりあえず給油会社に連絡し、1045に給油をすることを依頼し、35分まで寝かせた。

「ほら起きよ。決断がいるんだ。飛んで帰るか、それとも新幹線か?」
決断の時がきてきくと、熟考した末に「新幹線にします」という。その方が時間的マージンがあってよい。「ほな、給油の後、ターミナルに行って、少し何か口にして、バスで名古屋駅に行くようにしよう。新幹線なら、たぶん、1430にはキャンパスに居ることができるんじゃないか」
「それなら、ひとつ前の授業にも出られそう。でも、この状態で何か食べることはできるかしら」
「空港で食べられなくとも、新幹線なら駅弁もあるし。45分には給油のローリーがエプロンに来るから、このまま眠っているか、それとも一緒にエプロンに行くか」

そして15分後、フライトプランを1時間遅れに訂正する断りをセントレアのCABに電話して、ターミナルのレストランに行った。何も食べれそうじゃない、ということだったから、1人きしめんを食い始めると、「美味しそう、私もたのみます」といってオーダーし、生き返ったように食べている。顔色にも生気が戻ってきて安心した。 モエちゃんをバス停で見送り機体の所に行くと、隣のスポットにパイパー・マリブがおり、調布から飛んできた平岡仙ちゃんに会った。同じような直線コースを、計器飛行ではるかに高い高度を飛んできたらしい。
「穏やかな日だねぇ」
「全くだ」
ボクは単独で1159に名古屋を離陸し、追い風に助けられ1時間45分後の1344に大利根に戻ってきた。穏やかな日といえども、7,500ftの西風は、速度の遅いG109Bには凄く影響する。

帰路に見た笊ヶ岳(ざるがたけ)。主翼下が大井川源流。赤石岳辺りに発生したレンズ雲が出ている。ウェーブがある日だ。

翌朝パソコンを開けると、「おはようございます、昨日もありがとうございました。授業で寝たら完全復活し、ミーティングもばっちりでした」とメールがあった。回復の早さは若者の特権だ。羨ましいと思うと不思議なもので、次第にこちらの腰が痛くなってきた。座りづめの1日がこたえるようになってきたのかもしれない。世代差を感じる。そして世代は変わっていくので、興味ある若者には、教えられることを機会あるたびに積極的に伝授していきたいと、改めて思うのであった。

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