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10分後、昨日に続き、丸ちゃんAAとの撮影。塩見岳をすぎ、小河内岳、荒川岳を見て赤石岳、そして西にベントする稜線に沿い大沢岳へ。
ここまで来ると、南アルプスの3,000m峰も残すところ聖岳のみか。ここらを飛ぶグライダーは、みなその先、光岳(てかりだけ2,581m)まで攻めて、その後引き返すのが通例らしい。

しばらくすると、光岳をヒットして帰路に就いた田上09DGが他機情報を集めつつ、飛ばしてきた。白い雪山に白い機体だ。どの辺りで誰が飛んでいるか、位置情報は欠かせない。ヘッドオンとなったときの合成速度は400km/hに近いだろう。しかも、飛べる範囲と高度は、山の西側の、想像よりも圧倒的に狭い、いわばトンネルのような回廊なのである。
だから、主要な山の名前は確実に覚えておかねばならない。GPSによる主要なポイントからのベアリングも重要であるから、各機が共通のポイントをセットしておく必要もある。
「インサイト」
下方をピューンと通過していく。

15:10を過ぎると、少し戻って北上した辺りでDG-505MBに出会った。塩見岳の南から荒川岳方面に再度南下。10,000ftを割っているが、なかなかの余裕を見せている。稜線より低いため、南アルプス最深部の雪山をなめていく雰囲気が、どんどん取り込まれていく。
「OK、ありがとう」
505MBからブレークし、こちらは再度北上。KDの声がする。
小河内岳付近で霧ヶ峰デュオディスカスの機影を見つけ、「空撮させてくれますか、ならば真っ直ぐ行って下さいね」とお願いし、寄っていく。
KDは稜線を伝っていくが、稜線のアップダウンにより、時に大井川源流部の暗い谷、時に手前に連なる主峰部の頂が大きくガポッと画面に入る。山小屋さえ大きく入る。赤石岳山頂部の避難小屋だ。

さて、八ヶ岳に行こう。ひょっとすれば、田上DGに追いつけるかもしれない。
八ヶ岳南端で、丸山AAと利典SWを見つけ、「イーストバウンドで飛んでくれる?」と頼んだ。南端部の山容を背景に、もう1コマ2コマ集めておこう。
利典SWは昨日より余裕があるように見受けられる。丸ちゃんに静かに鍛えられているのだ。丸ちゃんの時折の注意事項や狙い目の指示と確認、丸ちゃんに返す質問、なかなか高尚なやりとりに見受けられる。明日は明日で、さらに進歩があるのだろう。当の丸ちゃんも、何年も前からか市川展選手に鍛えられていたし、昨年も、たぶん今年も、クラウス・オールマンのところでも学ぶことになっているらしい。技術伝承の素晴らしい形体があるように思う。

さて、田上DGはどこだ?
尋ねると、「蓼科。え〜これから霧ヶ峰、美ヶ原、その後再度南下して八ヶ岳に戻る予定です」という。ラッキー。長野に帰っちゃう訳じゃないんだ。
それにしても、時刻はそろそろ16:00だ。みんな頑張る。ずるずると付き合っていると、こちらの大利根帰着が怪しくなりそうな気がする。帰路の所要がマージンをみて1時間半として、どうだろう、このエリアに居続けられるのは、あと45分か。
ともかく真っ直ぐ美ヶ原に行ってみよう。

おおそうだ、飛騨に戻らないと伝えねば。
「時間がおしてきて、今日は飛騨には戻れませんので、よろしく」
「そんな、殺生な・・・」
え〜、ずっと山上で待っててくれたのかしら。長時間飛んで、搭乗料が予想外に高額なものにならねばいいが、ちょっと心配した。

茶臼山に至り、その西側低いところでサーマリングする田上DGをインサイトした。ずっと視野にとどめておけると思ったら、見失った。追いついたのは、霧ヶ峰を越え、サーマリングしている蓼科の上。なんだかとても速い。
「じゃぁ、ジョインナプしますよ」
横岳、茶臼岳、天狗岳とついていく。気流穏やかで、結構寄れる。機体を大きく、連峰を比較的小さく、ワイド気味の絵も撮れた。
八ヶ岳南端まで戻ると、南アルプスから帰ってきた機体が全部集まる状況となった。加えて、種田ディスカス1Mも加わっている。6〜7機が群がったガグルが出来ているのだ。
そして時刻は16:35。
「おお、壮観だねぇ。1機2機抜き出して撮りたいなぁ。でも、声を掛けにくいよなぁ、時間も切迫してるしなぁ。腹八分目だろうなぁ。それにしても、凄い状況になったものだねぇ」
ボクらはそこで帰路に就いた。大利根帰着は17:35であった。

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