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翌30日、視程10km、ベース3,000ftくらいか、心地いいとはいえない気象の中、元イーグルドライバーにして現在同業者のニコちゃんと福井へ。
名古屋から福井は、ショートカットしていけば、岐阜・福井県境の山の中を通る。が、雲は山頂部を隠している。結局関ヶ原を通過し伊吹山の南へ迂回して琵琶湖東岸を北上する羽目になった。同乗者はプロでも、こんな雲の多い低層をよたよた飛んだ経験はあまりないはずだから、頼っちゃいけない。
原発銀座の若狭、特に敦賀原発は敦賀湾の対岸すぐそこにあるから、避けていく。武生に至ると、福井平野はかろうじて陽が射していた。

RJNF福井空港でも、ちょっと打ち合わせが必要だった。
空撮というと、無線が頼りだ。福井RDO、118.6MHzは「私用で」使えるのか? また、学生の使うグライダーは、滑走路北端の脇に待機している。ウチの機体も学生使用機の一員として、通常のエプロンではない場所に、一時的にせよ置かせてもらわないと、被写体の乗員と打ち合わせができない。今までなかった事だけに、OKが出るかどうか、やや心配だった。
無線はまだしも、機体停留場所は県管の仕切だから、管理事務所で滑走路北端脇に機体を移動すると言うと、口をあんぐり開けている。そして、一緒に航空局へ行くとも言う。

航空局情報官室で、「すみませんが、RDOの周波数を空撮のために貸して下さい。ダウンウィンドの外側上空、5nm圏内での空撮なんで、122.6MHz(空対空)など他の周波数を使うと、かえって安全が阻害されると思うんですけど・・・・」とお伺いした。
また、フライトプランについても、河川敷滑空場では5nm圏内は不要だが、ここでは着陸料の算定の元などにもプランファイルが流用されているはずなので提出することにし、グライダー側と打ち合わせ前のため離陸時刻など未定の部分はブランクとして、航空局サイドで面倒をみてもらうことにした。
管制通信官兼任の情報官は、とても理解があった。文書で事前申請しろ、とか悪態をつかれなくて助かった。ここではグライダー自体が深く認知された存在だからだろう。

関大の監督は到着前だったが、合宿メンバーの食事のタイミングと、午後からは風が強くなる予報とを勘案し、田口さんが「早くやろう」という。横風8ktだったか、訓練の制限値があって、風が強くなれば訓練自体が中止されるかもしれないのだ。
で、丁度着陸した松浦監督と入れ替わるタイミングで滑走路をとことこと走っていき、北エンド脇に「グライダーのために舗装された」「小さく短い誘導路」に乗り入れた。
メンバーの紹介と空撮ブリーフィング。
「上空で直進できる体勢となったら、ヘディングを定めて真っ直ぐ飛んで下さい。こちらは、被写体機の右後方やや下から接近します。こちらは少しピッチアップして、行き足を止め、ジョインナップして空撮を始めます。そのとき、みんな興味あるせいか、必ずといっていいほどカメラシップを見ようとするんですね。すると、本人は真っ直ぐ飛んでいるつもりでも、必ず機体が踊ります。同レベルであれば、翼の上面がガバッと見えることもあるほど、動きます。見ても機体が動揺しないのは、よほど修練を積んだ人だけです。そして、こちらも翼が長く回避動作も緩慢なので、こんな怖いことはありません。タスクは真っ直ぐ飛ぶこと、と念じて飛んで下さい。そして、高度的に真っ直ぐ飛ぶことが難しくなったら、ブレークすると予令つきで、余裕を持って無線で言って、必ず左旋回で旋回を始めて下さい。右だとぶつかりますからね。こちらは間合いをとって、再び直線飛行が安定するまで待っています。その後、高度に余裕があれば、またジョインナップします。いいですか? よろしくお願いします」
プロって、やはり育ちが違う。
「のめる(予想より前に出てしまう)と、やはり始末悪いですねぇ」とかいいながら、占位する位置に必ずいて破綻がない。アングルを広げるために、滑らしたりしているが、全く崩れない。撮り易いのなんの。きっと、自分でも撮りたい位置にいるんだね。
結果は、光の具合以外はパーフェクトなものであった。とりあえず押さえたので、また、夏合宿にでも再訪して撮ってもいいと思った。
ASK21、G102、ASK13を撮り終え、名古屋に帰ることにした。
エンルートは明らかに降雨もある気象なので、燃料に余裕が欲しい。最悪のケース、越の国境か関ヶ原が通過できず、八尾の事前使用承認はなく、神戸には燃料はなく、岡南か高松へのダイバートもあるかもしれない。が、福井の燃料屋は待てど暮らせどやってこない。
学連の関係者と和やかに話などしているが、内心心細くなる。すると田口さんが嬉しいことを言ってくれた。
「ウチの燃料を入れていけば」
なんだか、みんなに助けられている。
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